不動産用語集
あ行
居抜き
居抜きとは、不動産取引において、店舗や工場などの内部設備や什器備品をそのまま残した状態で売買・賃貸することを指します。これにより、購入者や借り手は初期投資を抑え、すぐに営業を開始できるメリットがあります。
【居抜きのメリット】
初期費用の削減:設備や内装を新規導入するコストを抑えられる。
短期間で営業開始:既存の設備を活用できるため、すぐに事業を始められる。
既存顧客の引き継ぎ:業態によっては、前テナントの顧客を取り込める可能性がある。
【居抜きのデメリット】
レイアウトの制約:既存の設備や内装に縛られるため、自由な改装が難しい場合がある。
設備の老朽化:前テナントの使用状況によっては、修繕や交換が必要になることも。
イメージの継承:前テナントの評判やブランドイメージが影響する可能性がある。
居抜き物件は、特に飲食店や美容院、工場などでよく活用されます。契約時には、設備の状態や法的制限を確認し、事業計画に適合するか慎重に判断することが重要です。
さ行
私募リート(私募REIT)
私募リート(私募REIT)とは、証券取引所に上場せず、限られた投資家を対象に私的に募集される不動産投資信託のことです。英語では「Private REIT」と呼ばれます。
【主な特徴】
非上場:J-REIT(上場REIT)と異なり、証券取引所での売買は行われません。
投資対象:オフィスビル、商業施設、物流施設、住宅など多様な不動産に分散投資。
投資家層:主に金融機関や年金基金などの機関投資家。最低投資額が1億円以上のケースも多く、一般個人投資家は対象外です。
価格の安定性:市場での需給に左右されず、不動産鑑定士の評価に基づいて価格が決まるため、J-REITより価格変動が小さい傾向があります。
換金性の低さ:上場していないため、売却や払い戻しには制限があり、流動性は限定的です。
【メリットデメリット】
・メリット
安定したインカム収益(賃料収入)
市場の影響を受けにくい価格設定
分散投資によるリスク軽減
・デメリット
換金が難しい(流動性が低い)
投資家が限定されている
元本保証はない
この仕組みは、長期的・安定的な収益を求める機関投資家に適した投資手段として注目されています。
J-REIT(ジェイ・リート)
J-REIT(ジェイ・リート)とは、「Japan Real Estate Investment Trust」の略で、日本国内の不動産に投資する上場型の不動産投資信託です。
【基本的な仕組み】
J-REITは、投資家から集めた資金や借入金を使って、オフィスビル・商業施設・住宅・物流施設などの不動産を購入・運用し、賃料収入や売却益を分配金として投資家に還元します。証券取引所に上場しているため、株式と同様に売買が可能です。
【主な特徴】
・少額から投資可能:1口数万円程度から始められます。
・高い流動性:証券取引所で売買できるため、現金化しやすい。
・分散投資が可能:1つのJ-REITで複数の物件に投資しているため、リスク分散効果があります。
・専門家による運用:不動産の選定や管理はプロが担当。
・分配金が比較的高い:利益の90%以上を分配することで法人税が免除される仕組みがあり、投資家に多く還元されます。
な行
二番手
「二番手」とは、不動産取引において購入(賃貸)申し込みの順番を指す用語です。購入(賃貸)希望者が複数いる場合、最初に申し込みをした人が「一番手」、次に申し込んだ人が「二番手」となります。一般的に、一番手の希望者が優先されますが、売主(貸主)はより有利な条件を提示する二番手を選ぶことも可能です。
例えば、一番手が価格交渉をしている間に、二番手が売出価格で申し込んだ場合、売主は二番手を選ぶことができます。ただし、業界の慣習として、一番手に同じ条件で購入する意思があるか確認することが一般的です。
この仕組みは、特に人気物件で申し込みが重なる場合に重要になります。売主(貸主)は契約日が早い人やローン審査が通っている人を優先することもあり、申し込み順が絶対ではない点に注意が必要です。
は行
不動産証券化
不動産証券化とは、土地や建物などの不動産を裏付けとした証券を発行し、投資家に販売することで資金を調達する仕組みです。これにより、不動産を「小口化」して流動性を高め、より多くの投資家が参加できるようになります。
【仕組みの概要】
1.オリジネーター(不動産の所有者)が、対象不動産を特別目的会社(SPC)に売却。
2.SPCはその不動産から得られる賃料などのキャッシュフローをもとに、証券(債券や出資持分)を発行。
3.投資家はその証券を購入し、配当や利息という形で収益を得る。
【主なメリット】
・資金調達の多様化:企業は不動産を売却することで資金を得られます。
・リスク分散:不動産の所有リスクを投資家に移転できます。(オフバランス)
・流動性の向上:不動産を証券化することで売買がしやすくなります。
・少額投資が可能:個人投資家でも不動産に間接的に投資できます。
【代表的なスキーム】
・GK-TKスキーム:合同会社と匿名組合を使った私募型の証券化。
・TMKスキーム:資産流動化法に基づく特定目的会社を使った方式。
・J-REIT(不動産投資信託):上場している証券化商品で、個人投資家にも人気。